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4月, 2023の投稿を表示しています

電動アシスト自転車の開発PJ(15)

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 「電動アシストモータユニットの最近の動向」・・・続編 第13回で海外の軽量モーターユニットの最新動向を紹介したが、最近フランスのMAVICが軽量モーターユニット「X-Tend」を開発中であるとの記事があったので、参考のため以下に主な仕様を整理した。 MAVICが開発中のモーターユニットはボトムブラケット部に取り付けるタイプでありシマノなどの標準のクランクをそのまま流用できる点をウリとしている。 モーターユニットは長さ146mm、直径87mmであり、標準のQファクター内にそのまま納まる。ブラシレスDCモーターの出力軸を同心軸に配置される「サイクロ減速機」で減速する構造である。第13回で紹介したドイツの 「TQ-HPR50」(ハーモニックドライブ減速機)に似ている。サイクロ減速機は産業用に広く使われており、実績ある機構である。MAVIC社のものはピンで偏芯リングを駆動するのは通常のサイクロ減速機と同じであるが、 外周に歯車が切ってあるのが特徴である。 サイクロイダル減速機と称してパテントを申請している。 主な仕様は下記のとおり。 定格出力:     250W 最大出力:     390W 定格トルク:    39Nm 最大トルク:    50Nm バッテリー容量:  360Wh モーターユニット重量: 1.2Kg システムトータル重量:  3.2Kg ドイツの「TQ-HPR50」はシステムトータル 重量が 3.68Kg だったのでこれを下回る重量 となる。電動アシストの世界もシビアな重量 低減競争の世界に入っているのだと実感させられる。 MAVICも含めて欧州の新興メーカは自転車込みのトータル重量で10Kg以下の電動アシストを目指しているように見える。図らずも本プロジェクトと志を同じにしており心強い。 以下に、最新の軽量電動アシストモーターユニットの仕様比較を示す。 モデル名     型式 最大トルク モーター重量 バッテリー容量 システム重量                        Swytch -      前ハブ  40Nm   1.5Kg     180Wh    2.6Kg MAHLE-X20      後ハブ    55Nm     1.399Kg   360Wh    3...

電動アシスト自転車の開発PJ(14)

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 「最近のコンバージョンキットの動向」 日本ではe-bikeのコンバージョンは殆ど違法となる為、あまり普及していないが、欧米ではベースとなる自転車に後付けで電動アシスト化する所謂「コンバージョンキット」が結構人気で多くのメーカから販売されている。ここではその中から、イギリスのメーカーである、 Swytch社 と中国の新興メーカーである 100gGeeko社 の製品を紹介したい。どちらも外観上よく出来ている。(耐久性に関しては不明) 1)Swytch社 Made in England を売りにしている。コンセプトは単純明快であり、バッテリーの容量を最小にして追加重量も2.2Kg~2.6Kgと超軽量に仕上がっている。街中のチョイノリの用途に特化している。前輪のハブモータとハンドルに取り付けるバッテリー(大型のスマホみたいな形をしている)+コントローラで構成される。モーターコントロールはクランクのケイデンス計測で行われる。  前輪ハブモーターは小型ながら 40Nm のトルクを発揮する。バッテリーの種類は Air  (98Wh)と Max (180Wh)の二種類しかないが、それぞれ15Kmと30Kmの航続距離が可能とされる。遠出をしたいときにはバッテリーの予備をリュックに入れて行けば良いことであり、本当に素晴らしい割り切りと思う。ベストコンバージョンキットかも。 追加重量2.2Kgを、8.0KgのCannonndaleに取り付ければ本プロジェクトの目標をほぼ達成してしまう。 2)100gGeeko コンバージョンキットの世界では Bafang をはじめMade in Chinaが幅を利かせているが、その中で蘇州の新興メーカ 100gGeeko は後発ながら製品コンセプトがすっきりしている。ホームページはまるで米国シリコンバレーのメーカのようにスマートである。このメーカは前輪または後輪のハブモータと水筒型のバッテリーの組み合わせで好きなコンバージョンを完成させるシステムを提供している。(水筒型のバッテリーのキャップ部分がコントローラと表示メータになっている。)各パーツごとに、色々な仕様とオプションが選択できるシステムとなっており、選択と同時にトータル価格が表示される。実によく考えられている。2016年が創業と言っており、まだ若い会社である。従って海外の専門誌...