電動アシスト自転車の開発PJ(14)


 「最近のコンバージョンキットの動向」

日本ではe-bikeのコンバージョンは殆ど違法となる為、あまり普及していないが、欧米ではベースとなる自転車に後付けで電動アシスト化する所謂「コンバージョンキット」が結構人気で多くのメーカから販売されている。ここではその中から、イギリスのメーカーである、Swytch社と中国の新興メーカーである100gGeeko社の製品を紹介したい。どちらも外観上よく出来ている。(耐久性に関しては不明)

1)Swytch社

Made in England を売りにしている。コンセプトは単純明快であり、バッテリーの容量を最小にして追加重量も2.2Kg~2.6Kgと超軽量に仕上がっている。街中のチョイノリの用途に特化している。前輪のハブモータとハンドルに取り付けるバッテリー(大型のスマホみたいな形をしている)+コントローラで構成される。モーターコントロールはクランクのケイデンス計測で行われる。


 前輪ハブモーターは小型ながら40Nmのトルクを発揮する。バッテリーの種類はAir (98Wh)とMax(180Wh)の二種類しかないが、それぞれ15Kmと30Kmの航続距離が可能とされる。遠出をしたいときにはバッテリーの予備をリュックに入れて行けば良いことであり、本当に素晴らしい割り切りと思う。ベストコンバージョンキットかも。
追加重量2.2Kgを、8.0KgのCannonndaleに取り付ければ本プロジェクトの目標をほぼ達成してしまう。

2)100gGeeko

コンバージョンキットの世界ではBafangをはじめMade in Chinaが幅を利かせているが、その中で蘇州の新興メーカ100gGeekoは後発ながら製品コンセプトがすっきりしている。ホームページはまるで米国シリコンバレーのメーカのようにスマートである。このメーカは前輪または後輪のハブモータと水筒型のバッテリーの組み合わせで好きなコンバージョンを完成させるシステムを提供している。(水筒型のバッテリーのキャップ部分がコントローラと表示メータになっている。)各パーツごとに、色々な仕様とオプションが選択できるシステムとなっており、選択と同時にトータル価格が表示される。実によく考えられている。2016年が創業と言っており、まだ若い会社である。従って海外の専門誌にもあまりレビューに取り上げられていないので、製品の信頼性は不明である。外観上はよく出来ていると思う。このメーカもモーターのコントロールはケイデンスの計測で行われている。



例えば、250Wのフロントモーターと36Ⅴ/7.0Ah(252Wh)のバッテリーを選択すればトータル重量は4.0Kgとなり、これを8KgのCannondaleに取り付ければ12.0Kgの電動アシスト自転車が完成する。これで十分と言う気にもなる。前輪ハブモータが嫌であれば、0.1Kgの重量増加でリヤハブモーターも選べる。殆どドイツのEbikemotion並みの仕上がりである。

3)ホンダのスマチャリ

最新の話題として、2023年3月29日にホンダから、「スマチャリ」と称するコンバージョンキットが発表された。当面、コンバージョンキットとしての単独販売ではなく、ワイズロードのプライベートブランド自転車(Rail Active)に取り付けて販売するらしい。自転車を含む全重量は15Kgと発表されている。(コンバージョンキットの重量は約5.0Kg)
後付けモーターをボトムブラケット下部に取り付け、クランク軸に追加するギヤを駆動する構造である。この構造は中国のBafangと同じであり、ホンダの特許公報にアイディアが載っている。


気になるのは発表されたモーターユニットの外観が中国のTongShengにそっくりなことである。製品引き渡しは9月以降とされているが、9月まで時間があるので、自社製品を開発中なのか?詳細は不明である。特許公報の構造はTongShengとは異なる。


右の写真がTongShengのモーターユニットであるが、外観はホンダとほぼ同じである。まさか天下のホンダが中国製品を仕入れて、銘板を付け替えてそのまま転売するのか?
それとも、この製品は名前のとおり、スマホでのソフト開発が重要であり、ハードは中国製で済ませようとする戦略なのか良く判らない。


ホンダの電動アシスト自転車特許公報より

(次回に続く)






















コメント

このブログの人気の投稿

電動アシスト自転車の開発PJ(10)

電動アシスト自転車の開発PJ(18)

電動アシスト自転車の開発PJ(19)