電動アシスト自転車の開発PJ(5)

 「インホイール(ハブ)モータの調査」

ミッドシップ型に続き、インホイール型についても市販モデルの仕様について現状を見てみたい。ヤマハ、Bosch、シマノなど大手メーカはインホイールタイプを出していないが、国産では唯一ブリジストンが製品化している。(昔はサンヨーも前輪インホイールモータ方式を市販していた)ブリジストンは、Dual Drive と2輪駆動を売りにしている。(後輪を人力で駆動し、前輪をモータで駆動するという意味) 前輪のインホイールモータで減速時のエネルギー回生をするのがこのシステムの売りである。

海外では中華のメーカがDIY用の後付け部品として大々的に販売しており、どれもかなり安いし、手軽に改造出来そうである。その中でも大手のBAFANG社製の製品の仕様を下図にまとめた。重量は2.4Kgとそれ程重くないし、最大トルク30Nm(ホイール軸基準)はミッドシップ型(35~85Nm)に比べて小さく見えるが、通常走行でのクランク軸とホイール軸の増速率(1.2~3.5)を考慮するとそれほど細すぎるものでもない。自転車の走行抵抗曲線の上にプロットしてみると、ホイール軸基準で30Nmあれば殆どの坂は軽々上れることが判る。(実際はモータトルクに人力トルクが加算される)


インホイールモータは「軽量電動アシスト自転車」のモータとして、ひとつの候補であり、30NmのBAFANG社製モータを使って実際の走行試験をしてみる価値はありそうである。BAFANG社では走行速度によりギヤを切り替えるバージョンもあり、この場合は低速トルクがさらに大きくなる。上図に示すモデルでは最高アシスト速度を25Km/h付近に設定しており、日常の使用範囲では十分な性能である。

下図にブリジストン社のインホイールモータの構造図を示す。インホイールモータは内部に2段式の遊星ギヤを配置して減速(減速比は15程度)するのが常套であり、どのメーカも殆ど同じ構造である。ブリジストンは最近(2022年末)この方式の販売を打ち切るとアナウンスした。構造トラブルか、または供給トラブル(中華製だった?)か不明。新しい形式はまだ発表されていない。(2023年1月時点)


インホイールモータのもう一つの形態として、エコランやソーラーカーのレースで使われるギヤなしのモータ直接駆動型がある。ギヤロスがないことから、効率は90%を上回り、電費を気にするエコランの用途にはぴったりである。この方式も「軽量電動アシスト自転車」のモータ型式として一つの有力候補である。下図のミツバ社製のモータはホイール込みで3.5Kgであるが、もともとホイール重量が700g前後なので、モータ単体は2.8Kg程度である。(もう少しぜい肉を落としたら使い物になりそうである。)


(次回に続く)


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