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電動アシスト自転車の開発PJ(10)

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 「アキシアルフラックスコアレスモータ(Axial Flux Coreless Motor)」の検討 今回はソーラーカーなどに採用されているAxial Flux Coreless Motorを電動アシスト自転車のインホイールモータとして適用する場合の性能(重量、トルク特性)について検討する。Axial Flux Coreless Motorに関しては、かなり多くの研究論文が出ており、基本的な特性はこれらの論文を参考にすることにより計算できる。最終的には試作機を製作して実測データで検証する必要があるが、初期検討の段階では論文の計算式で大まかな傾向は掴めるし、精度的にも十分と思われる。今回の検討には主に次の3論文の記述を参考にした。特に①の論文は色々な巻線タイプの性能と重量が計算できる数式が紹介されており有用である。 ①Kamper,M.J.,Wamg,R.J.,Rossouw,G.G.(2008)'Analysis and performance of axial flux permanent magnet machine with air-cored non-overlapping concentrated stator windings',IEEE Transactions on Industry Applications,44(5):1495--1504,Setember/October 2008; ②Kirsten P. Duffy,'Optimizing Power Density and Efficiency of a Double-Halbach Array Permanent-Magnet Ironless Axial-Flux Motor'University of Toledo / NASA GRC ③森下明平、横山修一、奥山涼太、「デュアルハルバッハ配列界磁の磁束密度分布簡易計算法」、電気学会論文誌D(産業応用部門誌) 1)計算モデル 5㎜X5㎜四角で長さ20㎜のネオジウムマグネットを図に示すようにハルバッハ配列で並べて4本で一組のペアポールを作り、これを円周上に並べてリングを形成する。相対するリングは4㎜のギャップで配置する。永久磁石のリング(これが回転ロータとなる)の直径はポール数で決まることになる。直線の立方...

電動アシスト自転車の開発PJ(9)

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 「軽量高性能モータの技術動向調査」 今回のプロジェクトは電動アシスト用に重量1Kg以内で所定の性能(クランク軸で40Nm以上@100rpm、ホイール軸で30Nm@200rpm)を発揮するモータ型式(ギヤ型式も含む)を模索するものであるが、技術の方向性を定めるため、ここで一旦中休みして、世界的に最新のモータ技術の動向がどうなっているのか調査することにした。 右図は海外の論文からの引用であるが、軽量モータ開発の動向を大まかに掴むことが出来る。通常のモータは概ね0.2Kw/Kgのレベルであり、現状の電動アシスト自転車のモータもほぼこの付近に位置する。その一つ上のクラスがEV用のモータであり、ほぼ2.0Kw/Kgの付近にある。(プリウス、リーフのモータもこのレベルである)EVのモータはいわゆる永久磁石埋込型同期モータ(IPMSM)が殆どデファクト的に主流となっている。(初期のテスラは例外的に誘導モータを使っていたが・・・これは偉大な先駆者テスラに敬意を表するためか?)現時点ではEV用モータが軽量高性能モータとしては最先端を走っており、各社とも種々の新技術を投入して高効率化、軽量化を競っている。 自動車用モータの上を行くのが航空機用モータであり、SiemensのSPシリーズモータは5Kw/Kgを達成したモータとして有名である。(かなりの高エネルギー密度のモータであるが、火災による墜落事故などで完全実用化には至っていない?)ただし、航空機用としてはこれでもまだ重過ぎるとの評価であり、NASAは究極的に13Kw/Kgのレベルに達しないと航空機用としては使えないと言っている。現在、このNASAの目標に向かって、種々の検討が進んでいるが、未だこの目標に到達するコンセプトが固まっていないのが現状である。ちなみにドローン用のモータはEVモータとSiemens モータの中間に位置する。 右図は各種モータの重量当たりのトルクを比較したものである。ここでも電動アシスト用モータは最下位のレベルに位置し、5Nm/Kg以下程度と、ソーラーカー用のモータなみである。EV用モータは10Nm/Kg弱のレベルであり、結構健闘している。航空用ではSiemens の最新版であるSP200Dは30Nm/Kgの高トルクを誇っている。このSiemens モータを上回るのが、最近日立が発表したSUV用のインホ...

電動アシスト自転車の開発PJ(8)

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「ミッドシップ型パワーユニットの構想」 前回パワーユニットおよびモータの型式について3ケースの検討をやって行くとしていたが、今回は最初に「ミッドシップ型パワーユニット」について、基本的な構想をまとめた。 1)DCモータの選定 一番肝心のモータについては、24/36V、250Wクラスの市販のDCモータを種々調査した。航空機模型用、ドロ-ン用のモータも候補に上がったが、最終的に、マブチが最近市販を始めた ブラシレスDCモータ(IS-94BZC) が電動アシスト用モータとしてはベストフィットとの結論を得た。 IS-94BZCの主要諸元  電圧24V; 定格トルク;1.1Nm@2250rpm(260W)                 ピークトルク;2.0Nm@1950rpm(410W)             電圧36V; 定格トルク;1.0Nm@3600rpm(380W)                 ピークトルク;2.0Nm@3250rpm(680W)             ディメンジョン; 直径X厚さ=80㎜X45.5㎜ 重量=830g このモータは外観からアウターロータ方式と思われるが、トルク特性が太く、電動アシスト専用に開発されたモータと比較しても、遜色ない性能を持っていると思われる。(各メーカのモータ単独仕様は発表されていないので、推測であるが)重量も単体で1.0Kgを切っており優秀である。また防塵仕様になっているので、自転車にそのまま装着できる点も魅力である。 このシリーズには少し小ぶりの IS-92BZC (厚さが7㎜薄く、重量は650g)もあるが定格トルクが0.65Nmと小さいので、今回はIS-94BZCの方をメインに検討を進める。(最後に重量と厚さをシビアに削る必要がでた場合は再検討の可能性もある) このモータは、例えばモノタロウ等の通販で購入可能であり、価格も3万円以下と手ごろである。 2)遊星ギヤの選定 サーボモータ用に色々な遊星ギヤが市販されているが、減速比10前後(7~13)で、2Nmの入力トルクを伝達し、且つ軸方向長さをミニマムとする遊星ギヤとなると、選択範囲はかなり狭まる。最終的にマテックス社の LGU75-7MLD を選択した。この遊星ギヤはギヤ単体での販売なので、入力軸、出力軸、およびギヤケースは購入者が用意する必要がある。...

電動アシスト自転車の開発PJ(7)

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 「軽量電動アシスト自転車の開発目標」 これまで、市販されているパワーユニット、バッテリーの仕様を調べてきたが、これらのデータから果たして「10Kgを切る電動アシスト自転車」が可能といえるのか? 先ずは、開発目標を整理して、それぞれのパーツについて可能性・実現性を追求(FS)して行くことにしたい。 ・・・開発理念と開発目標の整理・・・ 「開発理念」  軽量で軽やかに走る電動アシスト自転車を目指す。適度なアシスト力を比較的高速まで持続し、バッテリー容量も必要最小限として市販のe-bike的な重装備は目指さない。(最終的にはヨーロッパおよび日本の法規制を遵守するが、開発機の基本骨格はアシスト制限(トルク、速度)を考慮せずに「理想的な電動アシスト自転車」のあるべき姿を目指す。) ・・・開発目標・・・ 重量;    総重量10Kg以内。(当然バッテリーを含む) 航続距離;  50Km以上~100KmMax  (日帰りサイクリングの用途を想定) 電費;    0.5Km/Wh以上。 (現状実力の2倍以上の効率化を目指す) アシスト力; 人力:アシスト力=1:1  (Specialized と同じ思想である) ・・・重量配分の設定(初期設定)・・・ 先ずは10Kgの重量を 自転車本体 、 パワーユニット 、 バッテリー で下記のごとく配分する。これらは初期設定の目標であり、検討の段階でどうしても達成できない個所が出てきた場合は、それぞれ融通し合うことで全体の目標値「10Kg」の達成を目指す。 自転車本体;    8.0Kg パワーユニット;  1.0Kg バッテリー;    1.0Kg  1)ベースになる自転車本体 ベースになる自転車は最近使用していないCannondaleのSynapse(2012年製)を使用する。現況での重量は8.3Kgであり、目標の8.0Kgまであと300gの減量が必要であるが、これは可能と思われれる。(フロントのチェーンリングは1速で十分であるし、フロントディレイラーも不要である。ハンドル回りも軽量化の余地あり。) もう少しお金をかければ7Kg台の自転車もあるが、これは他のパーツの軽量化が不成功に終わった場合の最後の手段に取っておく。滅茶苦茶高級な自転車ではなく、ありふれたカーボンフレームの自転車をベースとしているところに本プロジェクトの意義があ...

電動アシスト自転車の開発PJ(6)

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 「バッテリーについて」 軽量化を図る場合、バッテリーの重量は大いに気になるところであり、現在市販されている電動アシスト自転車用バッテリーの要目を調べた。バッテリーの取り付け方法として、フレームに外付けするタイプと、フレームの中に内臓するタイプがある。 下表に主要なメーカのバッテリーの要目を示すが、重量当たりの容量(Wh/Kg)は日本のママチャリ用の26V系とe-バイク用の36V系で明らかに差がある。36V系は三元系正極の電池が使われていると考えられ、26V系はマンガン酸リチウム正極の電池が使われているものと思われる。(リン酸鉄リチウムの可能性もあるが) いずれにしても、200Wh/Kgに近いエネルギー密度を持つリチウムイオン電池が入手可能であるという点で、軽量化設計の選択肢が広がる。 (上記主要メーカの製品は400Wh~500Wh以上と大容量志向であるが、本当は100Wh~200Wh程度の小容量軽量のパッケージが欲しいところではある。ーーバッテリーの重量が0.5~1.0Kgで済む) 因みに、最近流行りのドローン用の電池のエネルギー密度もほぼ200Wh/Kg付近であり、電動アシスト自転車の36V系とほぼ同じ水準である。 (次回に続く)

電動アシスト自転車の開発PJ(5)

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 「インホイール(ハブ)モータの調査」 ミッドシップ型に続き、インホイール型についても市販モデルの仕様について現状を見てみたい。ヤマハ、Bosch、シマノなど大手メーカはインホイールタイプを出していないが、国産では唯一ブリジストンが製品化している。(昔はサンヨーも前輪インホイールモータ方式を市販していた)ブリジストンは、Dual Drive と2輪駆動を売りにしている。(後輪を人力で駆動し、前輪をモータで駆動するという意味) 前輪のインホイールモータで減速時のエネルギー回生をするのがこのシステムの売りである。 海外では中華のメーカがDIY用の後付け部品として大々的に販売しており、どれもかなり安いし、手軽に改造出来そうである。その中でも大手のBAFANG社製の製品の仕様を下図にまとめた。重量は2.4Kgとそれ程重くないし、最大トルク30Nm(ホイール軸基準)はミッドシップ型(35~85Nm)に比べて小さく見えるが、通常走行でのクランク軸とホイール軸の増速率(1.2~3.5)を考慮するとそれほど細すぎるものでもない。自転車の走行抵抗曲線の上にプロットしてみると、ホイール軸基準で30Nmあれば殆どの坂は軽々上れることが判る。(実際はモータトルクに人力トルクが加算される) インホイールモータは「軽量電動アシスト自転車」のモータとして、ひとつの候補であり、30NmのBAFANG社製モータを使って実際の走行試験をしてみる価値はありそうである。BAFANG社では走行速度によりギヤを切り替えるバージョンもあり、この場合は低速トルクがさらに大きくなる。上図に示すモデルでは最高アシスト速度を25Km/h付近に設定しており、日常の使用範囲では十分な性能である。 下図にブリジストン社のインホイールモータの構造図を示す。インホイールモータは内部に2段式の遊星ギヤを配置して減速(減速比は15程度)するのが常套であり、どのメーカも殆ど同じ構造である。ブリジストンは最近(2022年末)この方式の販売を打ち切るとアナウンスした。構造トラブルか、または供給トラブル(中華製だった?)か不明。新しい形式はまだ発表されていない。(2023年1月時点) インホイールモータのもう一つの形態として、エコランやソーラーカーのレースで使われるギヤなしのモータ直接駆動型がある。ギヤロスがないことから、効率は90...

電動アシスト自転車の開発PJ(4)

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 「市販のパワーユニットの調査(補遺)」 これまでの調査で、ミッドシップ型のパワーユニットでは、各メーカともギヤの設計に色々な工夫をしているのが判ったが、大きな減速比を得るのに定番である遊星ギヤを使ったメーカが意外と少ない。シマノは遊星ギヤの塊である内装ギヤのトップメーカなので、遊星ギヤを使ってもいいのではと思ったが、最終的に採用しているのは単純な平歯車である。なぜ遊星ギヤを皆使わないのか?(信頼性?、コスト?)そいえば、日本のチェーン合力タイプのパワーユニットでも昔は遊星ギヤを使っていたメーカ(Panasonic?)があったような気がするが、いつの間にか普通のギヤタイプがメジャーとなっている。 その中で、ドイツのメーカであるBrose社は遊星ギヤとベルトで減速比を達成しているユニークな設計であることを見つけた。 また、Bosch社のギヤの構造を参考のため下図に示す。低負荷は樹脂ギヤ、高負荷は金属ギヤと使い分けている。 (次回に続く)